木のこと 2-3(4-5)

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 私たちが考える「木育」のキャッチフレーズは「赤ちゃんからはじめる生涯木育」です。つまり、ある一定の人たちに対して木育があるわけではなく、赤ちゃんからお年寄りまで、暮らしの中に木を取り入れ、豊かな、癒しのある生活を営んでいきましょうということなんです。日本は、世界第3位の森林大国であるにもかかわらず、森と離ればなれで、まったく森と仲良しになっていない。一歩でも二歩でも、森に近づき、仲良しになる必要があるのではないか。それも、私たちが木育を発信する動機になっています。 2007年、東京・四谷に「東京おもちゃ美術館」をつくるとき、まず考えたのが「おもちゃの森林浴」でした。日本全国の国産材を徹底的に使い、木の力で入館者を感動させようと。この「おもちゃの森林浴」を中心に、赤ちゃんからお年寄りまでが、木の豊かさを五感で感じながら居心地よく過ごせる空間をつくるために、デザインから設計、施工にいたるまでこだわり抜きました。都会の真ん中に、唐突にこんなミュージアムをつくって、本当に人が来てくれるのかという不安もありましたが、入館者数は順調に伸び続け、6年目の2013年には年間12万人を超えています。 東京おもちゃ美術館をオープンして最も想定外だったことは、3∼8歳くらいをメインのお客さんと予想していた中で「こんなにもたくさんの赤ちゃんが訪れるんだ」ということでした。施設内では、赤ちゃんがハイハイしている脇を子供たちが走り回っていました。お母さんは心配ですよね。これは、どうにかしなくてはということで、杉の力をめいっぱい使った「日本一の赤ちゃんサロン」=「赤ちゃん木育ひろば」をつくったんです。 赤ちゃん木育ひろばで、空間の木質化について、浅田茂裕教授(埼玉大学教育学部)との共同研究を実施したのですが、他の施設に比べて、赤ちゃんが圧倒的に泣かない、ヒステリックに泣き叫ぶ子がいないという特筆すべき結果が見られました。みんな、目をキラキラさせて遊んでいるんです。赤ちゃんが泣かずに、いきいきと遊んでいると、ママとパパの目もそっちに奪われるんですね。ここでは、保護者が携帯電話を使用する時間が圧倒赤ちゃんからお年寄りまで五感で感じる木の恵み赤ちゃんからはじめる、木と仲良しな暮らし杉の力に包まれる、日本一の赤ちゃんサロン木のことを語る木育の現場から多田千尋・ただちひろ・芸術教育研究所所長 東京おもちゃ美術館館長 認定NPO法人日本グッド・トイ委員会理事長 年間来館者12万人を超える東京おもちゃ美術館の経営手腕が評価され、経済専門誌による社会起業家30人の一人に選出。現在、4年連続で、林野庁の事業「木育」を全国に向けて推進中。暮らしの中に木を取り入れる運動であるウッドスタート宣言を市町村や企業に促すことなどで、林野庁長官賞も。お茶の水女子大学、早稲田大学非常勤講師。また、「おもちゃコンサルタント」5,000名、高齢者の遊び・芸術の専門家「アクティビティディレクター」500名を養成し、多世代社会のケアの仕組みを変える。著者『遊びが育てる世代間交流』他多数。Profile多田千尋芸術教育研究所所長東京おもちゃ美術館館長高齢者アクティビティ開発センター代表TADACHIHIROChapter01木もくいく育とは木と関わることで、木に対する親しみや理解を深め、暮らしに木を取り入れたり、自ら森づくりに貢献する人の育成を目指す活動。2004年に北海道から発信された新しい教育概念で、2007年より林野庁の「木づかい運動」の一環として取り入れられました。木のこと2
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(%)400102030405060705101520253035(%)小規模校木質率(教室などに木が使われている割合)が高い学校ほど訴え率が低いという結果に。ストレス反応訴え率ストレス反応訴え率木質率木質率生涯木育」をより推進するために、誕生祝品(赤ちゃんへの国産材玩具のプレゼン卜)をはじめとしたウッドスタートの活動を、市町村そして企業へと拡げる取り組みを進めています。 今後、来るべき高齢化社会にむけて、「文化の香りがぷんぷん漂うような福祉社会」が必要であると考えています。それは、弱い人たちに手を差し伸べたり、貧困の方たちを支援したりというような上から目線の福祉ではありません。日本をもっと豊かな、元気の出るような福祉社会にしていくために、木の力や遊び心を取り入れていきたいですし、東京おもちゃ美術館はその先頭を走る存在でありたいですね。さらに、ミュージアムの次は、学びの場。東京おもちゃ美術館、また、ウッドスタートの目指すところとして、そんな癒し社会を包括するような「おもちゃ大学院大学」をつくってみたい。しかもそれを東京おもちゃ美術館同様に、ボランティアと寄付者がその運営を支える「市民立」でできたら面白いと考えています。的に短いことも大きな特徴です。 さらに、木質化については、高齢者施設でも調査が行われていますが、木製の家具や食器を導入することで、ウロウロせずにじっと座っていられる、お隣の人たちと会話をはじめるなど、認知症のお年寄りにも変化があることがわかっています。 NPO法人日本グッド・トイ委員会では、2010年から林野庁の木育事業を受託し、その推進活動を行っています。2011年に赤ちゃん木育ひろばができたことは、東京おもちゃ美術館がまさに「木育推進」を体現するような、0歳児の赤ちゃんからお年寄りまでの多世代交流の施設に進化していった瞬間であり、こうしたスペースができてよかったと心の底から思っています。 しかし一方で、木育推進というキャッチフレーズがどうも浸透しないと感じていました。そこで、それに代わる、もっと気の利いた言葉がないかと探す中で生まれてきたのが、2011年から取り組みを開始した「ウッドスタート」なんです。「赤ちゃんからはじめるウッドスタートで木育を市町村へ、企業へ癒し社会の構築に木の力と遊び心を東京おもちゃ美術館・おもちゃの森木育円卓会議木育キャラバン参照:日本グッド・トイ委員会「木のくらし木のちから」「木質率とストレス反応訴え率」23校の中学生約4,800名へのアンケート調査木のこと3

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