木のこと 4-5(6-7)

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 「過去のもの」「かつてのヒーロー」。それが、飫肥杉と出会った頃のイメージでした。ボク自身、飫肥杉と深く関わるようになったのは、2005年に商工観光課に配属されてからです。杉に関わる人を訪ね、その人たちから教わり、飫肥杉の歴史、過去の栄光を知る、そして、材質としての特徴を知る。こうして、人を知り、杉を知ることから、取り組みをはじめました。また、デザイナーの南雲勝志さんや内田洋行の方々をはじめとする人との出会い、「日本全国スギダラケ倶楽部」の活動との出会いも、とても大きなものでした。全国各地で、杉の産地は同じ悩みを持っていて、悪戦苦闘していること、同時に、オフィスなどで杉がかっこよく使われているということを知り、飫肥杉にかすかな光と可能性を感じるようになりました。 2007年、かつて飫肥林業の繁栄に欠かせない存在であった堀川運河の新たなシンボルとして、飫肥杉を用いた屋根付き橋(夢見橋)を架ける計画が持ち上がりました。それは、まちづくり、観光資源としての活用、商業地の入口としての機能など、さまざまな可能性が詰まっていると感じられるものでした。中でも、いちばんに考えたのは、子どもたちのこと。まちから杉が姿を消し、家庭の中でも、杉を目にすることがほとんどなくなってしまっている今、この機会に橋づくりのことを勉強してもらうことで、子どもたちが地域の歴史や文化、杉やまちづくりのことなどにも関心を持ってくれるのではないかなと。しかし、これを当時在籍していた商工観光課だけでやるには限界がありました。そこで、全庁、全市的に橋づくりに関わるために、プロジェクトチーム「飫肥杉課」を立ち上げました。今年、設立7年目になりますが、10の課から12名のメンバーが参加し、「飫肥杉を生かして地域を豊かにする」活動を継続しています。 杉は全国各地にあるものです。だから、どこででもできるよう飫肥杉との出会い、人との出会い子どもたちに伝えたい飫肥杉のあるまちのこと日南らしいものづくり、日南らしい情報発信河野健一・かわのけんいち・日南市役所 飫肥杉課(飫肥杉を生かして日南を豊かにするプロジェクトチーム)産業経済部水産林政課 林政係主査日本全国スギダラケ倶楽部 飫肥支部 広報宣伝部長1971年宮崎県日南市生まれ。1990年宮崎県立日南高校を卒業後、日南市役所に入庁。その後、企画調整課、合併協議会事務局、行政改革推進本部事務局、商工観光課などを経て、2010年より現職。2007年、地元に飫肥杉製の屋根付き橋が整備される計画がきっかけとなり、市長に飫肥杉課設置を進言。Profile飫肥杉がつなぐ人と人今とこれから河野健一宮崎県 日南市役所飫肥杉課KAWANOKENICHI木のことを語る自治体の現場からChapter01飫肥杉木のこと4
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地元でも活動を理解されていないのも実情ですので、今後はもっと学んでもらう、知ってもらう、気づいてもらう機会を増やしていかなければいけません。 これからのテーマは「『あい』と『笑顔』」です。「あい」というのは、愛情や愛着の「愛」だけでなく、「話し合い」などの「あい」。「語り合い」「分かち合い」「支え合い」などの「あい」は、人と人がつながっているんですよね、人とのつながりがないとできない。そうしたつながりのなかにこそ「笑顔」がある。そこに飫肥杉を置いてみると、とても想像しやすくなります。杉は、価格も、立場も、強度も弱い存在。一人で何かをやろうと思っても難しいんですね。デザインしてくれる人、つくってくれる人、売ってくれる人…いろんな人が知恵を出し合って、失敗を繰り返しながらやっていかないといけない。そこで、いろんな「あい」が生まれます。杉をひとつのツールとして使って、「『あい』と『笑顔』」のある豊かな未来を、これからの世代に引き継いでいきたいですね。なものをつくると、わざわざ日南の杉でなくてもいい、地元の杉でつくればいい、ということになってしまいます。「日南の歴史・文化・風土から来るかたち、日南オリジナルのプロダクトをつくること、日南にちなんだ商品開発が大切」と南雲さんからも強く言われており、実際の製品(obisugidesign)も飫肥杉らしさや、もともと日南にあった形を活かしたものになっています。さらに情報を発信する際には、例えば飫肥杉は、かつては造船材に使われていたわけですが、その背景にある情報も含めて発信するということを意識しています。情報の伝達が成功しているのか、まだ実感はありませんが、まず発信する自分たちが思いきり楽しみ、そこに来てくれている人たちにも楽しんでもらう、そして、それを地元から発信していくということを大切にしています。 これまでずっと、ものづくりを中心にやってきましたが、今はまちづくり、市街地活性化にも関わろうとしています。日南は、運河のある港町が中心市街地ですが、そこを全国どこにでもあるような賑わいのあるまちにするのではなく、写真を見たときに「これ日南だね」と言われるような場所にしたい。そんなシーンに飫肥杉をうまく活かしていければと考えています。しかし、まだまだ、飫肥杉を「あい」と「笑顔」の真ん中にobisugidesign/飫肥城址飫肥杉林飫肥杉課発足メンバー飫肥杉製のマグロ箱日南市民と木・念撮影堀川運河夢見橋木のこと5

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